有酸素運動をする際に知っておいてほしいのは、有酸素運動は軽いジョギング程度では脂肪燃焼の効率が悪く、長時間やっても脂肪をたくさん燃焼するほどの効果はなかなか得られないということです。
雑誌や本やテレビなどでよくおすすめされる有酸素運動は主に中年から高齢の方を対象にしているので、日頃から運動をしていなくて足腰が強くない人ができるような低強度運動が中心となっています。
しかし、もっと強い体を作ろうとする若者や健康な人の場合は、低強度のトレーニングではいつまで経っても目標の体作りはできないのです。
だからといって激しい有酸素運動を行ったとしても、その時に消耗できるカロリーは考えたほどそこまで多くはありません。
例えば体重60kgの人が1時間歩いた場合、消費カロリーは約200kcal程度、1時間のジョギングでは約500kcal程度です。
ちなみにご飯1膳(140g)は約235kcalです。
こう考えてしまうと、有酸素運動をやる意味が本当にあるのかとがっかりしてしまうかもしれません。
しかし!
高強度のトレーニングをすることでEPOC(エポック)効果という、計算だけでは説明のつかないカロリーの消耗を促してくれる状態に入っていくのです。
EPOC(エポック)・アフターバーン効果は脂肪の燃焼と運動効率を最大化する!
EPOCとは、運動後過剰酸素消費量(Excess Post-exercise Oxygen Consumption)のことです。
息苦しくなるほどの高強度のトレーニングを行った後、私たちの体は回復のために多くのエネルギーを必要とします。
運動をしていない通常の安定時よりも、はるかに多くの酸素を運動が終わっても引き続き消耗します。
その時の代謝量が増加した状態のことをEPOC(エポック)効果といいます。
運動した後にカロリーを燃やすことから、アフターバーンとも呼ばれます。
この効果は、トレーニングしてから時間が過ぎて体が安定して行く時にも代謝量を低くならないように代謝を消費します。
EPOCの消耗量、持続時間はトレーニングの強度、総エネルギー消耗量に左右されますが、最長で2時間ほどは効果が持続すると言われています。
つまり、たくさんの汗をかくほど激しくトレーニングをした後は、2時間くらい勝手にどんどんエネルギーを消耗し続けてくれる、ゴールデンタイム(EPOC効果)が発生するのです。
EPOC(エポック)・アフターバーン効果を出すための最大心拍数
有酸素強度基準によると、最大心拍数70~80%以上、特に80~90%以上の運動を実施する場合に、代謝量増加と脂肪を燃焼するEPOC効果が一番強く現れます。
最大心拍数は「220ー本人の年齢」になります。
30歳なら220-30=190が100%という計算が一番多く使われるのですが、あくまでも大体の基準なので、実際は体力、身体能力が人それぞれ違うため個人差があります。
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EPOC(エポック)・アフターバーン効果を知らない?有酸素運動を激しくしても体脂肪燃焼量は少ないというメディアの主張
高強度のトレーニングが脂肪燃焼費が少ないともいわれることがあります。では、息が上がるほど激しくトレーニングして消耗したエネルギーはいったいどこからきているのでしょうか。
空から降ってくる訳はないですから、結局は体のどこかから出てきますね。
実際、高強度トレーニングで使われるエネルギーのほとんどは、保存用の炭水化物であるグリコーゲンを燃やしてエネルギーを出します。
一部は酸素と出会い正常燃焼されていきますが、他の一部は酸素が不足したり、代謝能力不足で不完全燃焼され疲労物質を生成したりします。
要するに酸素の消耗をしばらく後に回しておくのです。
高強度の有酸素運動、あるいは筋トレが終わったら、私たちの体は消耗されたグリコーゲンをリフレッシュして、不完全燃焼された物質を排出したり、再びグリコーゲンに戻す回復の段階に入ります。
脂肪を燃やすか、炭水化物を燃やすか、とにかく体にあるものを燃やして使ってしまったら、再び蓄積しなければなりません。
さらに、いつまた高強度の活動を開始するか分からないから、体は多量の代謝ホルモンを分泌して高エネルギー状態を持続し、しばらく「非常待機状態」になります。
これだけではなく、回復のために数え切れないほど多くの複合的な活動が体内で忙しく行われます。
大変な山登りをした後や高強度のランニングをした後のしばらくの間、顔がほてっていたり、体からずっと熱が上がっていることを感じることがあったはずです。
それがEPOC効果なのです。
特に高強度のトレーニングを行った後は、酸素が足りなくて不完全燃焼した疲労物質を処理するために、運動時に後に回していた酸素消耗(酸素負債、酸素の借り)もこの時期に返していきます。
ということは疲労物質が少ないのなら、つまり返済しなければならない酸素負債が少なければ、超過酸素消耗も少なくなってしまいます。
軽いウォーキングのような低強度運動の場合、運動中の不完全燃焼もほとんどなく、回復もとても早いためにEPOC効果を期待することは難しいです。
超肥満体型の人は例外ですが特に回復が早い若者は、ほぼないと言いきれます。
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運動後もカロリーを勝手に消費してくれるEPOC(エポック)・アフターバーン効果の消費量は?
EPOC効果を通じて消耗する熱量(カロリー)が一体どのぐらいになるのかが気になるところです。
海外の研究結果によると、ウォーキングのような低強度の有酸素運動後の場合は5kcal以内ということでした。これではまったく効果は出ていませんね。
一方、ウォーキングよりも激しい運動で最大心拍数70%以上の中・高強度の運動後の場合は100~200kcalに及ぶとされています。
冒頭で述べた1時間のウォーキングと同じくらいのエネルギー消耗量になります。
しかしこれは運動中のカロリー消耗ではなく、運動が終わった後に勝手に起こるカロリー消耗です。何もしない時間にもこれだけのエネルギーが使われるというのはすごいことです。
また、有酸素運動ではなく高強度のウエイトトレーニング(筋トレ)からもEPOC効果を得ることができます。
中・高強度の有酸素運動には劣りますが相当量のエネルギー消耗を運動後に期待することができます。
プロ並みの筋トレ専門家が「筋トレだけでも痩せられる」と言うのはまさにこのことですが、やはり心肺機能を強化するには有酸素運動が必要なので、このような人たちの場合も有酸素運動をしないわけではありません。
EPOC効果は個人別、運動強度別に異なるために一概にどれだけ消耗すると言うのは難しいです。 上に表記した数値もただの参考程度で、絶対数値ではありません。
高強度トレーニングをした場合は1日のエネルギー消耗量を10%程度上げられると推定されます。
EPOC(エポック)・アフターバーン効果を得て体脂肪を落とそう
あまり知られていないEPOC(エポック)効果。
心拍数を上げて高強度の有酸素運動をすることで運動が終わってじっと座っていたとしてもEPOCの恩恵にあずかることができるのです。
軽い有酸素運動では、長時間やっても運動を終わらせれば後からのカロリー消費も終わってしまいます。
ぜひEPOC効果を出すために有酸素運動や筋トレの強度を上げていきましょう。
しかし、ひざを故障しやすい人や運動不足の人は急に激しい運動をしてしまうとケガをする可能性もありますので、徐々に体を慣らしてからトレーニングしてください。
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