十何年前の話ですが、筋トレを始めたころに一番やっかいだったのが呼吸法でした。
フォームが間違っているのは鏡からすぐ見れますが、呼吸法はクセになるまで自分が間違っていることさえ自覚することができません。
しかも筋トレを始めたばかりの頃は、呼吸の仕方が重要かどうかも知らないままトレーニングをしています。
特にトレーナーの指導を受けずに独学でインターネットや本で学んだ人は、フォームの真似をするのに精一杯で呼吸法は全然気にもしていない、考えてもいないケースが多いです。
筋トレの基本は「力を入れるときに吐く、力を抜くときに吸う」
トレーニングにおいての呼吸法は、少しでも呼吸法について調べたりトレーナーに聞けばすぐわかる知識です。
これは全てのトレーニングに適用する呼吸方法です。
肩トレーニングのレイズやプルアップなどの一部では呼吸法を反対にする場合もあり、確かにその方がやりやすくはなります。しかし基本は上のような呼吸法です。
上の呼吸法はとても簡単そうですが、思った通りにそう簡単にはできません。
呼吸法がクセになってない人は、力を入れる時に息を止めてしまう本能があるからです。
簡単そうでも筋トレの呼吸法は人間の本能に逆らうことなので意外と苦戦します。
息をするための筋肉と筋トレする筋肉は別
それでも呼吸法を身につけないといけない一つ目の理由は、私たちの体は呼吸用の筋肉と骨格筋に同時に力を入れられないからです。
体は息を吸うと骨格筋は普段より弛緩され(緩み)、息を吐くと骨格筋は緊張をして収縮されます。
ボクサーがパンチをするときやサッカー選手がボールを蹴る時、野球選手がボールを投げるときなどスポーツ選手たちもそれぞれのやり方で息を吐きます。
実際に息を吸いながら重いものを持ち上げてみると、吐きながら持ち上げる時よりはるかに差が出るほど力が落ちているのを体感できます。
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呼吸を止めた筋トレは高回数には限界がある
二つ目の理由は言葉通りに呼吸のためです。一回二回ぐらいは呼吸を我慢して行えても、いつかは息をしなければなりません。10回、15回のトレーニングになると正常に息をしてないため息苦しくなる状況にもなりかねません。
ところでなぜ私たちは力を入れるときに本能的に息を止めるのでしょう?それにも理由があります。
肺に空気がいっぱい入ると腹圧が上がり、上体が固まってもっと重い重量でも耐えられるようになるからです。
重量挙げやパワーリフティングのように脊柱からの頑固な支持力が必要な高重量トレーニングでは、意図的に息を止めるバルサルバ法が必要な場合もあります。
重量挙げ選手がリフティングベルトをつける理由も腹圧を最大に上げるためです。
ヴァルサルヴァ法(英語: Valsalva maneuver)とは、いきむ(息む)動作で呼吸が止まり、筋緊張が起こることで普段より筋力が発揮できる生理的な現象。イタリアの解剖学者、アントニオ・マリア・ヴァルサルヴァ(英語版), 1666 – 1723) が使ったことから名付けられた。ヴァルサルヴァ手技とも呼ばれる。
出典:Wikipedia
筋トレで息を止めすぎるのは危険!
腹圧を上げると力は強くなりますが、問題点も当然あります。
腹圧を上げるということはつまり胸腔の内圧が増加することですが、これは心臓にいく静脈が圧迫されて心臓の拍出量が減ります。
この時に動脈、特に脳に上がっていく血流が少なくなってめまいが来たり、最悪には失神することもあります。
これがトレーニング中だったらバーベルなどの負荷を落として大きな怪我にもつながる場合もあります。
さらに腹圧を抜けたら詰まっていた血流が一気に増えて血圧が急激に上がります。高血圧の方には致命的な事故にも繋がりやすいです。
ボディメイクを優先にする筋トレではリフティングベルトはほぼいらないです。
腹圧を上げるバルサルバ法をあまりに過度に使うと、腰を支える腹筋とコア筋肉の発達に悪影響を及ぼします。
リフティングベルトを使い腹圧を上げて高重量トレーニングをする場合は、上級者に限って2~3セットぐらいがちょうどいいでしょう。
基本の呼吸法を身につけよう
トレーニング種目の中には「あえて」呼吸を止めて行うものもありますが、とにかくまずは
「力を入れる時に息を吐く」ことを頭に入れておいてください。
当サイトの各トレーニング種目のやり方のページでは、毎回呼吸の仕方についても記載しています。
無意識で間違ったクセがついてしまわないように、慣れるまではトレーニング中の自分の呼吸を意識して行いましょう。
ランキング上がりました!ありがとうございます。
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