ジムに置いてあるスミスマシンには、バーベルの軌道が床から垂直に動くタイプとななめに動く傾斜タイプがあります。
「スーパースミスマシン」とも呼ばれる傾斜タイプのスミスマシンはバーの動きが約10度ななめに作られていて、垂直タイプの後に登場しました。
スミスマシンで行うトレーニング種目はマシンを使わないフリーウエイトで出来るものがほとんどですが、それらの動作の軸跡はフリーウエイトでも完全に垂直ではありません。
そのために後からできたのがスーパースミスマシンなのですが、傾斜しているためにどちらの向きでどのトレーニングをすれば良いのか分からなくなる人も多くいます。
ですので今回は、スーパースミスマシンで行うトレーニングの体の向きを確認してみます。
※説明の補足~
この傾斜スミスマシンの場合、傾斜が上になるにつれ壁側に向かっているので、
「傾斜が上」…壁側の方を指します。「傾斜が上」の方にあお向けになると説明した場合、壁に頭を向けます。
「傾斜が下」…通路側の方を指します。「傾斜が下」の方を向いて立つと説明した場合、壁に背を向けて通路側を向きます。
※2 同じ種目であっても、違う効果を求めたりやり方によっては反対向きで行うこともあります。
今回紹介するのは、一般的で基本のやり方に沿った説明です。
スーパースミスマシン(傾斜スミスマシン)で行うベンチプレスの向き
フリーウエイトのベンチプレスの動きは、バーベルを下げた時はバストトップ(乳首)の位置、上げた時は胸の上部(鎖骨)になります。
つまり、スミスマシンベンチプレスは頭を「傾斜が上」の方に向けてあお向けにすることでフリーウエイトと同じ軸跡で行うことができます。
バーを下げた時にバーがバストトップにくる位置であお向けになって行います。
インクラインベンチプレスで行うときも体の向きは同じです。
その際はベンチの背もたれの角度を20度に設定することで、フリーウエイトでの動きと違和感なく動作できます。
しかしインクラインなら反対向き「傾斜が下」でも背もたれの角度を深めに40度に設定すれば同じ効果でトレーニングが可能です。
インクラインベンチプレスは、胸の上部に刺激を集中させるために背もたれを30度の角度に設定しますので、傾斜スミスマシンの10度を考慮して行います。
スーパースミスマシン(傾斜スミスマシン)で行うショルダープレスの向き
バーを頭上に持ち上げて行うショルダープレス(ミリタリープレス)も、フリーウエイトでの動きを確認してみますと、
・上げた時は腕を真っすぐにして頭の真上
・下げた時は顔の前(あごの下あたり)
となり、軸跡はななめになって行うことが分かります。
このことからもベンチプレスと同じく、スミスマシンショルダープレスは「傾斜が上」の向きで行うのが基本です。
反対に「傾斜が下」で行うと三角筋前部へ刺激が大きく入ることになります。
スーパースミスマシン(傾斜スミスマシン)で行うバックプレスの向き
バックプレスは頭上に持ち上げたバーベルを頭の後ろに下ろす動作ですから、スミスマシン使用時は「傾斜が下」の向きで行います。
しかし、バックプレスの動きは正直なところ肩関節には良くないので、可動域を短く耳の上(後頭部)までにして、肩の関節を痛めないように十分注意して行いましょう。
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スーパースミスマシン(傾斜スミスマシン)で行うベントオーバーローイングの向き
ベントオーバーローイングも、「傾斜が下」の向きで、写真のスミスマシンの設置位置からすると壁に背を向けた状態で行います。
体を35~50度ほど前かがみになった状態で、バーを下ろした際は足の甲の上、上げる時は腹部につけるようにして引き上げるので、フリーウエイトでもななめの軸跡です。
このほか、ドラッグカールやデッドリフト、アップライトロウも傾斜スミスマシンでは同じく「傾斜が下」の方を向いて行います。
スーパースミスマシン(傾斜スミスマシン)で行うスクワットの向き
スクワットは、理論的には垂直であっても実際に動く時には体にかかる力の方向は完全に垂直ではありません。
しかしながら、スクワットは本人の目的によって両方の傾斜をすべて使うことができます。
太ももの表裏を全部鍛える一般的なスタイル、つまりフリーウエイトと最も似たスクワットをしたい場合には、「傾斜が下」の向きで立って行います。
垂直スミスマシンではフリーウエイトと同じ姿勢で行うと、ひざがつま先より前に出やすくなる問題があるのですが、傾斜スミスマシンはそれを予防する効果があります。
もし垂直スミスマシンを利用してスクワットを行う場合は、足をもう少しだけ前に出してやれば似た効果を出すことができます。
スーパースミスマシン(傾斜スミスマシン)で行うランジの向き
スミスマシンで行うランジも、やり方によって何種類もバリエーションがあり、基本的には垂直・傾斜どちらのスミスマシンでも行うことが可能です。
その中でも足を後ろに下げて行うバックワードランジはスーパースミスマシンで行う場合は「傾斜が上」の方を向いて行います。
足を下げることで体も少し後ろに下がるからです。
固定されたスミスマシンで行うのは安定していることがメリットではありますが、下ろした際にひざがつま先より前に出すぎていると痛める原因になるので注意して行います。
スミスマシンで行うことができるトレーニングはまだまだありますが、今回はそのいくつかを紹介しました。
反対向きで行うことで効かせる部位が変わるだけで問題のないものもあります。
しかしそうでないものを知らずに反対で行うと無理な体勢となって関節の故障やケガにもつながりますので、基本はフリーウエイトと同じ動きになることを意識して、どちら向きで行うのか確認して行いましょう。
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